五十嵐貴久「炎の塔」

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銀座のランドマーク「ファルコンタワー」。高さ450メートルを誇る日本一の超高層ビルが完成した。オープンの初日、タワーには震災を生き抜いた親子、重病を克服した夫婦、禁断の恋に落ちた教師と女子高生、離婚問題に直面する夫婦など、様々な事情を抱える人たちが訪れていた。そんな彼らに未曾有の大火災が襲いかかった。通称“ギンイチ”銀座第一消防署の若き女性消防士・神谷夏美は猛威をふるう炎の中、死を賭した任務に出動するが―。完璧だったはずの防火設備はなぜ破綻したのか?最上階に取り残された人々の運命は?想像を絶する焔と人間の戦いを描く極上エンターテインメント!
(「BOOK」データベースより)

「人名を救うために自分たちの命を犠牲にする全世界の消防士にこの物語を捧げる」
 ——映画『タワーリング・インフェルノ』

こーれーはー面白い!
久しぶりに、読み終えるまで寝られず一気読みしました。
酷いよ五十嵐さん。私、寝るのが遅くなると翌朝辛いんだよう。
もっとつまらない小説にしてもらえれば、私も睡眠不足にならなくてすんだのに。私の健康を返して。

しかし、ついついラストまで一気読みしてしまった原因は、私が映画「タワーリング・インフェルノ」のファンだからなのかもしれません。
本のあとがきで五十嵐貴久いわく

言うまでもないことですが、本書は1974年の映画『タワーリング・インフェルノ』にインスパイアされて執筆しております。

インスパイアというより、五十嵐さん、これ“まんま”よまんま。
火災の理由もほぼまんま、その原因もほぼまんま、最上階のパーティでお偉いさんが集結してるのもまんま(今なら小池百合子が来るのかしらん)、グランドホテル形式もまんま、家族と離れ離れになってしまった子供もまんま、ビルオーナーがクソなのもまんま、業務用リフトでの脱出は、映画で出てくる展望棟エレベータだな。あのシーンとか救命籠から落ちる人がいるのも、まんま、まんま。
クライマックスの消火策も、あれよね、あれ!○○がドバーッ!ときてザザーッ!と流れてxxがジュワーッ!ってするのって、アレよねアレ。あのイメージよね。

まんままんまと言ったって、“まんま”を単なる焼き直しだと思っちゃいけねえぜ奥さん。
これは五十嵐貴久と「タワーリング・インフェルノ」ファンが、手に手をとってピョンピョンしながら『だよねー!』『あれよねー!』と熱く語り合う、映画と小説の日米首脳会議だ。

「雨も降っている。鎮火できるだろう。それまで人々の混乱を抑え、パニックから守るんだ。それがお前の任務だ」
「……そう言えと?今いる八百人に、おとなしく待っていてくださいと?」
「そうだ」
それ以上村田は何も言わなかった。指示はすべて虚偽だ。
—(中略)—
消防士である以上、夏美にはそれもわかっている。そしてタワー崩壊のタイムリミットが一時間半を切ったという情報も知っている。
更に言えば、なぜ誤情報を与えたかも理解しているはずだった。本当の状況を知れば、人々はパニックを起こす。恐慌状態に陥った多くの者が、逃げようとして非常階段に殺到するだろう。彼らを待っているのは燃え上がるフロアだ。逃げ場はない。かえって早く死ぬことになる。
だから虚偽の情報を与え、八百人の人間を抑えろと命じた。一分一秒でも長く生かすためだ。夏美が何も答えようとしないのは、意味を理解したからなのだ。

「タワーリング・インフェルノ」に出てくる消防士は、スティーブ・マックイーン演じる野趣豊かなガテン系。対して「炎の塔」の消防士は、プリティな女性消防士の夏美さん。161センチ49キロの、東京消防庁の身体基準をやっとこさクリアするくらいの、消防士としては華奢な体躯です。
男性に比べて筋力も劣るし、仕事中のトラブルも多い。彼氏とのデートの予定もたてにくい仕事を、今後続けていくことに疑問を感じる28歳オンナの曲がり角。

ビルのオープン当日に発生した火災報知機のトラブル?を調べるために、ファルコンタワーに足を踏み入れた夏美さん。最新の防災設備を備えた巨大ビルに、まさか本当に火災が起きているなんて予想すらせず、通報の確認を終えたらビルのイベントスペースで働く彼氏に会いに行っちゃおうかしらなんて呑気なことを考えてます。

それがあらまあ、行ってみたらびっくりぽんって流れで。
スティーブ・マックイーンおじさんとは、だいぶ違っておりますが、こっちはこっちでプロ根性を見せてくれるもんですよ。

さてさて、100階建てのビルで起きた大火災。
99階には800人の人間が取り残されている。
台風が近付き、ヘリは飛べない。
中層階の非常階段は焼け落ちている。
エレベーターも油圧リフトも、全て故障。
71階にあるプールには、発注手違いで50トンの塩酸が鎮座している。
火災でタワーは崩壊寸前。

にっちもさっちもどうにもブルドック、ワオ!

「もしかしたら……最後のチャンスかもしれない」
「聞いてた」折原がうなずく。「可能性はあるのか?」
「紙より薄い」夏美はにっこり笑った。「だけど、賭けるしかない」

ラストに向けての夏美の“賭け”は、パニック映画並みに手に汗握りつつ。
“賭け”の内容は、いやここでは言えないわ。○○をババーンで△△にザザーンしてxxがジュワーンなのよ。読んでよ。読んだら意味がわかるから。

いやでも読む前に、映画「タワーリング・インフェルノ」を未見の方は、TSUTAYAで映画を借りてくるほうが良いかも。
映画を未見でもきっと面白く読めるとは思いますが、映画を知ってたら二倍三倍面白くなること請け合いです。
で、作者の五十嵐貴久と私と、一緒に手に手をとってピョンピョンしながら『だよねー!』『あれよねー!』と熱く語り合おう。
映画と小説の日米首脳会議。
いやほんと、ピョンピョンしたいわ五十嵐さんと。

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レビュアー: さくら
さくら
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