中山七里「さよならドビュッシー」

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ピアニストからも絶賛!ドビュッシーの調べにのせて贈る、音楽ミステリー。ピアニストを目指す遙、16歳。祖父と従姉妹とともに火事に遭い、ひとりだけ生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負う。それでもピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する―。第8回『このミス』大賞受賞作品。
(「BOOK」データベースより)

第8回(2009年) 『このミステリーがすごい!』大賞受賞

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幼少期にピアノをン年間も習っていたにもかかわらず、ト音記号がちゃんと書けない私。
もちろん楽譜は読めません。デクレッシェンドって何だっけ?ピアニッシモは煙草だよね。
なので「さよならドビュッシー」の音楽に関する記述はまーったく分からないごめんなさい。

音楽の素養がない人間のメリットのひとつが、音楽を主題とした小説の記述に細かいチェックをしなくてすむこと。
火災で身体の34%に酷い火傷を負い、生死の境をさまよった女の子が、退院後二週間でブルグミュラーのアラベスクを再び弾けるようになり、たった二ヶ月で名門音楽学校に入学し、たった三ヶ月でコンクール出場選手に選ばれ、たった四ヶ月でコンクールに優勝する。そんなことが果たして可能なのかどうか、ってーのは、音楽の素養がない人間にはどうでも良いことです。ふーんそういうもんなのかーで済むからね。
「3日練習を休んだら、どれだけ指が衰えるのかわかってない!」とか、そういう事言わずにすむ。

あと、医療に詳しくない人間にもメリットがありますね。
重度の火傷を負って顔面も含む全身の皮膚移植をして、身体はブラックジャックみたいなツギハギなのに、何故か顔だけが「まあ、医者でもない限り見ただけでは整形したことも判らんでしょうね」レベルまで治るってありえるの?ってーのは、医療の知識がない人間にはどうでも良いことです。ふーんそういうもんなのかーで済むからね。
しかも顔面は事故前の写真を使って寸分たがわず復元したそうな。それだけ日本の整形外科治療が進歩してるんだったら、世の中で顔の美醜に悩む人はいなくなるような気がしますがねえ。

まあ良いや。この本は、細かい突っ込みをいれてはいけない。
細かい疑問はおいといて。これがミステリーだってこともわすれて。
「さよならドビュッシー」はスポ根モノなのです。

思いーこんだーら、しーれんーのーみーちーをー♪

火事で死去したおじいちゃんの遺産はなんと12億円。遺言により、その半分の6億円が主人公に相続されました。
相続の条件は、ピアニストとなること。おじいちゃん不慮の事故とはいえ無茶っぷりもいいとこです。

入学した名門音楽学校では同級生女子のイジメにあい、少女マンガでよくありがちな陰口をたたかれます。

そして身の回りで起こる不審な動き。はっ、私、狙われている?!

家政婦さんには汚物を見るような目で見られ、フーテンの叔父さんにはイヤミを言われ、さらには母も神社の階段から落下して亡くなってまあ大変。

でも私、負けない!ピアノがあれば生きていけるの!
イケメンの天才コーチの指導があれば、リハビリがてら関西最大のコンクールにだって出場できます!
宗形コーチ!私コーチについて行きます!お蝶夫人にだって勝ってみせるわ、優勝は私、岡ひろみよ!!

…おっと失礼。『エースを狙え』とまざっちゃった。
同級生のイジメ風景とかは、昔懐かしき大映テレビを彷彿とさせますね。リハビリ風景は「スワンの涙」あたりか。
財産だ遺産だのくだりはもっと古く「赤いシリーズ」山口百恵が似合いそう。
つまり、かなり、昭和の匂いプンプンです。
「さよならドビュッシー」が好きか嫌いかは、昭和チックなスメルが好きか嫌いかによりそうですね。
私は好きですよ昭和。赤いシリーズも大映テレビもスポ根マンガも。だから、かなり読んでて面白かった。さくさく読めるし。

過酷な運命を背負い、辛いリハビリと練習に耐え、周囲の無理解に負けず、努力と根性とピアノへの愛情でコンクールに見事優勝し…!

…あっ。
そうだった。
これミステリだったよ忘れてた。

ラストでイケメン天才ピアニストから謎を解き明かされ、主人公もびっくりだが読んでるこっちもびっくりです。
すっかり「さよならドビュッシー」がスポ根小説の気分でいたものだから、謎ってなんだっけ?謎なんてあったっけ?な気持ちについなっちゃいました。
ある意味ではこれもどんでん返しと言えるのか。やるな、中山七里。

「さよならドビュッシー」は、ミステリとして読んでも、まあ、いい
夢に向かって邁進する少女を描く青春小説として読んでも、まあ、いい。
山口百恵「赤いシリーズ」として読んでも、まあ、いい。レッツ昭和。パパ役は宇津井健でよろしくね。

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レビュアー: さくら
さくら
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