中山七里「いつまでもショパン」

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ポーランドで行なわれるショパン・コンクールの会場で、殺人事件が発生した。遺体は、手の指10本が全て切り取られるという奇怪なものだった。コンクールに出場するため会場に居合わせたピアニスト・岬洋介は、取り調べを受けながらも鋭い洞察力で殺害現場を密かに検証していた。さらには世界的テロリスト・通称“ピアニスト”がワルシャワに潜伏しているという情報を得る。そんな折、会場周辺でテロが多発し…。
(「BOOK」データベースより)

先日の「おやすみラフマニノフ」にて、私は予言しました。
岬先生は、次には空でも飛ぶんじゃなかろうか、と。

私の予言は正しかった。
さすがに空は飛ばないまでも、我らがスーパーヒーロー・岬洋介の超人ぶりは、既にして伝説の域へ…!

「さよならドビュッシー」はスポ根もの。
「おやすみラフマニノフ」では青春小説。
そして今度の「いつまでもショパン」では、遂にファンタジーまで手を広げました。岬先生の音楽シリーズはジャンルが広いなあ。
…え?違う?中山七里の音楽シリーズはミステリだろうって?
その問いには何とも答え難い。だってミステリ要素、オマケ扱いなんですもの。

大統領の語尾が微かに震えていた。
『—君のピアノは我々に奇蹟をもたらしてくれた。君の奏でたノクターンで二十四人もの命が救われたのだ。審査委員たちが与えないのなら我々が君に感謝と栄誉を与えよう。本当にありがとう、ミサキ。君の音楽がいつまでもショパンの魂と共にあることを願う』

持病を抱えてピアニストとしては綱渡りの岬先生、今回ははるばるポーランドまでピアノコンクールにお出ましです。
そのピアノコンクール予選会場で殺人事件が起こり、どうやら犯人はポーランドに潜伏するテロリストなのではないかという噂。
その疑惑を裏付けるかのように近隣施設ではテロが多発し、多数の貴賓や著名人が集まるコンクールは継続できるのか?というストーリーです。

実際に起きたポーランド大統領機の飛行機事故や、タリバンとの戦闘などを絡めて描いて、まー中山さんったら国際派路線に転向ね!大藪春彦ポスト狙いかしら?!なーんて一瞬勘違いしそうにもなります。
しかしながら、結局のところテロだなんだは目眩ましにしかすぎません(ネタバレ容赦)ので、基本的にテロ関連は無視して頂いてもさほど影響はありません。

それよりも私たちは、超人・岬に集中して堪能しようではありませんか。

いやまた今回も岬先生凄いっすよ。
ピアノコンクールでは、他の参加者から“中毒になりそう”とまで言わせしめる素晴しい演奏をして、ほぼ全てのコンクール関係者と楽しく交流し、すわ事件という時にはSPに先んじて犯人を取り押さえちゃいます。
岬先生、武道までやってたのかなあ?ピアノと司法試験の掛け持ちじゃ、スポーツする時間もないだろうになあ。

当然のごとく勝ち進んだコンクール決勝戦では、演奏中に持病の発作!岬先生ピンチ!と思いきや、なんとまあスパイラルな岬マジックで、会場全体をスタンディング・オベーションの歓声で埋まらせます。
いや、これ、通常ありえなくね?という無理矢理さは、音楽の力ということで片付けてよいものか。

なおかつ、その岬マジックはコンクール会場だけでなく、遠く離れたとある場所にも影響を与えます。
その場所が何処なのか、どんな影響を与えたのかは、実際にお読みになってお確かめください。
勿体つけてる訳じゃあないんだよ。ここで粗筋だけ話しても、きっと貴方はこう言うから。

「ありえねーよ!」

普通ではありえないほどの偶然と凄まじいご都合主義的により、怒涛のようなストーリー展開で読者の情動を一直線に刺激するのは、“泣かせの浅田”浅田次郎と同じ力技のファンタジーです。
だからつまり「いつまでもショパン」は、小説ジャンルとしてはファンタジーという結論で。そういうことで、よろしくです。
岬先生の音楽シリーズはジャンルが広いなあ。ミステリ以外では、あるけれど。

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レビュアー: さくら
さくら
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