三浦しをん「舟を編む」

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玄武書房に勤める馬締光也。営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。新しい辞書『大渡海』を編む仲間として。定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく―。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか―。
(「BOOK」データベースより)

2012年本屋大賞受賞作。

hunewo

素直な感想。
「辞書作りって、大変なんだなぁ~」

イジワルな感想。
「辞書を作る人って、変人なんだなぁ~」

出版物を作る人の中でも、辞書の編纂は他の書籍に比べて特殊な作業が多いのでしょう。
十年以上もかけてひとつのものを作り上げるには、ただならぬ「辞書」にかける熱意・情熱もしくは愛着がなければ成せない技なのでしょう。

でもねえ、辞書に携わる編集者が全て「舟を編む」の馬締(まじめ)クンのような人物だと思ってしまったら、日本の出版社辞書編纂室の各編集者デモ隊がシュプレヒコールをあげるよ。
「特殊な仕事だからって~!変人あつかいするな~!」
いざ立たん辞書編纂室の編集者諸君よ!
君達の名誉とプライドを守るために!
吾らは業務内外かかわらず、人並みの生活を送る一般常識人であると!

・・・って編集者の人の代弁をしたくなっちゃうくらい、登場人物の馬締(まじめ)クンは、変な人。
彼は、辞書編纂の作業に際しては才能を開花させたけれど、もし彼が辞書編集部に異動にならなかったとしたらただの変人の給料泥棒ですって。
だって、もともと馬締(まじめ)クンが在籍していたのは営業部。
こんな営業向きでない人材を営業部に配属した新卒採用時の人事部ってどんなボンクラよ。

ともあれ。
馬締(まじめ)クンを辞書編集部に異動させた上司の英断によって、彼が言葉の海への船出するオールを手にする事ができました。
それは多分、彼自身にとっても、編集部の面々にとっても、“辞書”自身にとっても幸せなこと。

普通の感想「辞書作りって、大変なんだなぁ~」っていう切り口だけで読んでも、それはそれで充分に面白い本です。
だって、その辞書専用の紙から作るなんて、考えたこともなかったでしょ?私はなかったわ。
辞書用としてどのような紙を漉くべきか、製紙会社の営業部長が言った言葉。

「『情が深いが、去り際のきれいな女』みたいな紙を作れ、ってね。どうです、このたとえ。ぬめり感てもんを、よく表現してると思わんですか」

作者の三浦しをんさんに是非お聞きしたい。
上記の発言は、三浦さんが取材された王子特殊紙株式会社の社員さんの発言を元にしたのでしょうか。
それとも三浦さんの完全オリジナルの台詞なのでしょうか。
いや、どちらでも良いんですが。この発言のオヤジくささが結構、極私的にきゅんきゅんきたので。

そんなきゅんきゅんもありつつ(無いよ)辞書編纂に関するあれやこれやを、ちらと覗き見する意味合いにおいても楽しい小説でありました。

そういえば。
ちょっと(だいぶ?)前にの三省堂『新明解国語辞典』について書いた「新解さんの謎」という本がベストセラーになったことがありまして。
すっかりその存在を忘れていたのですが、「舟を編む」の中でちょろっとだけ『新明解国語辞典』の説明の独特さに触れている部分がありました。
そうそう新解さん!そうなのよ、新解さん超チョー面白かった。
あの時も、辞書って面白いな~って思ったのでした。
「舟を編む」も、また再び、辞書って面白いな~って思った。
過去に読んだ本と、最近読んだ本が、つながる瞬間って、心地よいね。

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レビュアー: さくら
さくら
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