フレドリック・ブラウン「未来世界から来た男」

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奇想天外な着想と巧妙な話術を身上とする、当代一流のストーリー・テラー、ブラウンがその真価を発揮する短編集。第一部SF編には「二十世紀発明奇譚」以下20数編、第二部悪夢編には「魔法のパンツ」「最後の恐竜」等二十編を収める。未来世界と大宇宙の戦慄、怪奇と幻想に彩られた悪夢の恐怖を綴るブラウンSFの第1弾!
(Amazon内容紹介より)

星新一をはじめとするSFショートショートで育った(?)元SF少女のさくらちゃんとしては、フレドリック・ブラウンを外すことなどできまっしぇーん。
問題は、どの本をチョイスするかなのだよ、きみ。

mirai

巧妙なプロット、驚きの結末、軽妙なユーモア、皮肉のスパイス。

フレドリック・ブラウンのどの本にも「ブラウンらしさ」が満載で、なにぶんショートショートがメインなだけに、一冊の本に絞ることが難しい。
名作『ノック』が入った「宇宙をぼくの手の上に」にする?それとも星新一訳の「さあ気ちがいになりなさい」にする?フィリップ・K・ディックが絶賛した『ヴァヴェリ地球を征服す』は「天使と宇宙船」か。あの気持ちよい読後感も捨てがたいな。

いっそ長編で「火星人ゴーホーム」いっちゃう?いかすよなアレ。志村けんの変なおじさん的な迷惑火星人。しかも緑色。いかすよね。
SFだけじゃなくってミステリにも手を広げると、いやーんリンダ困っちゃう。「まっ白な嘘」とか好きなの。ミス・ダークネスが好きで。

ダラダラと書籍名だけを羅列していっても仕方ないので、今回は独断と偏見で好きな一冊をチョイス。
それが「未来世界から来た男」です。

とは言うものの、表題作の『未来世界から来た男』自体は、そんなに好きな話ではありません。
今の世間ではちょっと人種差別的な側面が大きい話ではありますし、あんまりねー。たいして面白かーないやねー。

では、何故「未来世界から来た男」なのか?
それは、この中に収録されている『熊の可能性』というショートショートが、だいっすきだからなのです。

『熊の可能性』は、産院の分娩室の前でウロウロしている夫の姿からはじまります。
何?夫がウロウロしてるから熊なのかって?まあそう急くんじゃないわよ。

夫は分娩室の前で、いらいらと心配そうにドアの前を行ったり来たり。
なぜかといえば、それは、実は夫が魔法使いだからなのです。

魔法使いとはいってもたいしたワザも魔力もなく、できる魔法といえばただひとつ、人間を動物の姿に変えることだけの夫。
それも愛妻をシャム猫に変えてこっぴどく叱られてから、せっかくの魔法も封印を余儀なくされて、市井の人として普通の生活をしております。

ですが。夫婦そろって動物園に行った、ある日のこと。

事故により愛妻が熊の穴に落っこちて。
縄張りを荒らされて怒った熊が、妻に襲い掛かろうとする。
夫は咄嗟に自らの封印を解いて、愛妻をメス熊の姿に変えます。
同じ熊ならば殺される可能性は低いだろうと。

確かに妻は殺されなかった。
だけど、そのかわりに、とある事が起こった。
夫はなす術もなく、只それを見ているしかなかった。

そして。

それから二、三週間というもの、二人はそのことをいっさい話さなかった。ところでこの二人は結婚して以来十年、子供を望んでいたが、いままで授からなかった。しかるに、あの穴の中のおそろしい経験から三週間たつと、妻はみごもったのである。

諸君は産院の待合室で、子供の生まれてくるのを待っている父親が、世界中の苦悩を一身に背負ってウロウロしているのを見たことがあるだろうか?それならクインビーのことを考えてやっていただきたい。彼は今、いても立ってもいられぬ気持で待っているのだ。なにを?

驚くべきはね、きみきみ。
『熊の可能性』はフレドリック・ブラウンのショートショートの中で、話題にも上らない地味な話だってことだよ。私は好きだけど。
ブラウン、楽しいぞう。どの本にも『熊の可能性』に負けないユーモアと、皮肉と、驚きの結末が満載のショートショートが盛り沢山だぞう。

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レビュアー: さくら
さくら
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