スティーブン・キング「第四解剖室」

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私はまだ死んでいない、死んでいないはずだ。ゴルフをしていて倒れた、ただそれだけだ。それだけなのに。だが、目の前にある解剖用の大鋏は腹へと迫ってくる…切り刻まれる恐怖を描いた標題作のほか、ホラーからサスペンス、ファンタジー、O・ヘンリ賞を受賞した文芸作品まで、幅広いジャンルにわたって天才ぶりを発揮してきた巨人キングの十年を総決算する全米百万部の傑作短篇集。
(「BOOK」データベースより)

何が可愛いって、アマゾンに掲載されている「第四解剖室」の“出版社からのコメント”が可愛いったらありゃしませんね。

新潮文庫版「第四解剖室」の作者まえがきにもある通り、この短編集がアメリカで出版された際には、もともと13編の短編を収めたペーパーバックでした。
それが日本では二分割して、この「第四解剖室」と、もう一つの短編集「幸運の25セント硬貨」の2冊になっております。その際、キングとの契約上の理由につき1篇が未収録となりました。

そういう大人の事情が、日本の読者に『6編なの?12編なの?13編じゃないの?』という混乱を生じさせる訳です。
下記にリンクするamazonn.co.jpのカスタマーレビューでも、その混乱についての感想が多く寄せられております。
新潮社の編集担当者さんにしたら『俺のせいじゃないよ、うえーん(泣)』という気持ちで、アマゾンにコメントを寄せられたようです。

まあ、ちょっとお閑ならアマゾンの“出版社からのコメント”読んでみてよ。
頭ポリポリかきながら『正直困ってしまったからでして』(←引用)か、可愛いからさ。

本題の「第四解剖室」に参りましょう。
ペーパーバックから2分割された、片方の短編集「第四解剖室」の方は、正直言ってグッとくる短編があまり多くはありません。
もうひとつの「幸運の25セント硬貨」の方がお買い得かもしれない。

が、しかし、だ。
こっちの短編集は、表題作の「第四解剖室」ひとつだけでも、読んで損はなし。
ホラーというより落語のような、艶っぽい小咄のような感覚の一編です。

そして頭蓋骨を切りとったあとで、脳みそをとりだす。
かちゃん、かちゃん、かっちゃん。それから、がちゃん。あまりにも大きな音に跳びあがりそうになる——といっても跳びあがれればの話。

ポーからはじまる“早すぎた埋葬”テーマの小説は、土葬が一般的な西洋文化ならではの恐怖という気もしますが、こちらは外国でも日本でも、共通の恐ろしさではないかと思われます。

ゴルフ場で蛇にかまれて、全身が麻痺した男。
ただ身体が動かせないだけなのに『突然死』と勘違いされて、司法解剖にまわされる。
ただ身体が全く反応しないだけなのに、冷たい解剖台に乗せられた感覚もあるのに、自分の目の前に肉切り鋏が迫って来る。
全くありえないとも言えなさそうで、ドッキドキでしょ?何でメスじゃなくて肉切り鋏なんだって疑問はあるけどね。

「おぅぅぅ、しょせんちんけなロックンロール、だけどおいらは首ぃぃぃぃったけぇぇぇ…
「ヴォリュームを下げて」ドクター・シスコが、滑稽なほど大きな声で叫ぶ。この喧騒のなかでは、わたしが鼻から出した音、藁にもすがる思いで鼻孔をつかうハミングで出した声など、鋳物工場での囁き声よりもかぼそくなってしまう。

彼、ハワードにとってさらなる不幸が、検死医たちがミック・ジャガーのファンだったこと。
なんとか少しずつ体の感覚を取り戻し、自分がまだ生きていると周囲に伝えたいハワードさんですが、解剖室には大音量でローリング・ストーンズが流れていて検死医たちノリノリ。
複数枚のアルバムから抜粋した楽曲ラインナップは、きっとドクター・ケイティ自作のセレクトCDでしょう。

ハイコア製のダイナマイトを三本まとめて痩せこけたケツに突っこまれたみたいな格好で踊り狂いながら歌うミックは、なんとまあファンキーなことだろうか。

イッツオンリーロックンロールを聴きながら服を脱がし、エモーショナル・レスキューで総合初見担当の相談をし、スタート・ミー・アップで口腔内の状態確認をし、ハングファイアで鋏の具合を確かめる。
それにしてもこの検死医、ノリノリである。

で、結局ね。
「第四解剖室」のラストは、ハワードさん危機一髪のシーンから一年後です。はい、ハワードさん生きてます。良かったねハワード。
どうやってハワードさんが“早すぎた埋葬”の危機を乗り越えられたのか、というのは、この話のオチにもつながりますので発言を控えますが。

そのオチが問題だ。え…そっち?そういう系の話だったの?

でも、オチはここじゃ言えないなあ。乙女の口からはとても言えない、キャッ(/*^^*)ハズカシーな結末です。
お気になる方は、実際のご本をどうぞ。

落語のような、艶っぽい小咄のような。
キングが楽しんで書いた感じの、小品短編集です。んもうキングさんたらお茶目さんなんだから。
新潮社の担当さんも『正直困ってしまっ』てしまうわ。キャッ(/*^^*)ハズカシーw

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レビュアー: さくら
さくら
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