アイザック・アシモフ「聖者の行進」

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まだ実験段階にあった未熟なポジトロン頭脳が、およそロボット離れした才能をアンドリュウに付与し、彼の彫る木のペンダントは芸術の域に達するほどのものだった。やがて彼は“人間”への道を歩み始め、法的自由を、衣服を、そして人間と寸分たがわぬボディを求めて立ち上がる。傑作「バイセンテニアル・マン」ほか十一編。
(Amazon内容紹介より)

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アシモフのロボットもの収録短編集の中では、本当はこっちのほうが好きな私です。
だけど『やっぱロボット工学三原則っていったらこっちだよね』と、昨日の「われはロボット」の方を先にアップした私って偉い!偉いよワタシ!

で、今日こそが本題でございます。
実際にはこの短編集は、ロボットものだけを集めてはいないので、これをアシモフのロボット短編集とは言うに憚られるかもしれません。
でも!でも極私的には、この「聖者の行進」こそがアシモフロボット最高峰と宣言いたしましょう!

だってだって、この中には『バイセンテニアルマン』が収録されているんだもの~!

『バイセンテニアルマン』は、映画「アンドリューNDR114」の原作ですので、映画をご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。見てないや、私w

「きみは何故自由を求めるのだね、アンドリュウ?きみにとって、それはどのような意味があるのだね?」
「あなたは奴隷になることを望みますか、裁判長?」

“バイセンテニアルマン”というのは、訳して“200歳の人”
普通の人間では200年間いきることは不可能ですね?はい、この主人公アンドリュウはロボットです。
富裕層のご家庭に雇われた家政夫ロボット。

アンドリュウは電子回路のちょっとした不調?のおかげで、とても美しい木工作品を作る芸術的才能にめぐまれました。
雇い主のパパがリベラルなお方で、アンドリュウの作品が売れたお金をアンドリュウ自身の財産となるよう取り計らってくれました。
末娘リトル・ミスとの交流もあり、アンドリュウは単なる雇われロボットではない存在になっていきます。

そして、彼アンドリュウが抱くようになった、ささやかな願い。

人間になりたい。
(って、ここで妖怪人間ベムを連想した人はアウト)

木工作品の収益で貯めたお金を雇い主パパに譲り渡し、その代わりにアンドリュウは使役されない“自由”を得ます。
この場合の自由というのは、人間の都合で解体されない自由ね。人間に奉仕する機械のロボットは、故障したり役に立たなくなれば壊されてしまう。
彼の機械的生命は彼自身の手に委ねられることになりましたが、だからと言ってロボットが人間になれる訳じゃない。

服を着れば良いのだろうか?でも鉄製のゴツゴツした身体では、衣服を着たって嘲笑されるのみ。
では、人工の皮膚を使って人間と同じ外観にすれば良いのだろうか?でも、皮膚一枚下が機械仕掛けであることは、周囲の誰もが知っている。
社会に貢献すれば人権を認められるだろうか?でも、どんなに役にたっても、所詮は“良いロボット”にすぎない。

やがて100年がすぎ、150年がすぎ、雇い主のパパもとうに亡くなり、一緒に遊んだリトル・ミスとの日々も遠くなり。

様々な箇所で功績を残したアンドリュウは、世界でも有名なロボットにはなりましたが、彼の望みは叶えられないままです。

どうしてアンドリュウは人間だと認めてもらえないんだろう?
独立もし、感情も持ち、人間と同じ見た目なのに。

「正直に言って、わたしは人間になりたいのです。人間が6世代変わる間ずっとそれがわたしの夢でした」

彼はリトル・ミスの孫の弁護士から、彼が人間として認められるには、ある重大な問題点があると指摘を受けます。
100年たっても200年たっても生きている、それは既に人間ではない。
いつかは死が訪れることが決められている人間と、永遠に稼働できるロボットには、決定的な差異がある。
永遠の生を特権としているロボットを、人間は決して同士とは認めないだろうと。

アンドリュウは最後の賭けとして、とある場所に出向き、その後、世界会議(この時代には国家というものが存在しないので)の場で訴えかけました。
自分は脳の電子回路が自然劣化して壊れるように「不随意で、かつ不可逆的な破壊」を行った。
自身の肉体の死と、希望、願望の死を秤にかけて、肉体の死を選択したと。
未来に“死”が決定付けられている存在の自分には、もう、人間とどこにも相違はないはずだと。

結果。
彼は“バイセンテニアル・ロボット”ではなく“バイセンテニアル・マン”と呼ばれるようになります。
その時にはもう、アンドリュウの電子回路は停止寸前でしたが。
動かなくなった身体、働かなくなった脳で、いよいよ彼が人間としての死を迎える間際。
遠い遠い200年も昔の思い出、リトル・ミスの姿がアンドリュウの心に去来するのでした…。

超ダダ泣きっすよ旦那!
マジ良いっすよ旦那!

アシモフロボットもの最高峰。いやほんと。泣けるから。ロボット読むならこれを読め。マジで。

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レビュアー: さくら
さくら
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