カレー沢薫「ブスの本懐」

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みんな違ってみんなブス。“ブスに厳しいブス”カレー沢薫がすべての迷える女性に捧げる、逆さに歩んだ「美女への道」。「cakes」の大人気連載「ブス図鑑」が待望の書籍化!
(「BOOK」データベースより)

いやー素晴らしいよ。すがすがしい本を読んだ。
すがすがしいまでに、読後に何も残らない。

のっけから失礼な物言いですが仕方がない。それは著者のお墨付きでもあるのだ。

ここまで「ブス図鑑(さくら注:コラム連載時の題名)」を読んできた人の大半が「何も得るものがなかった」と感じているだろうが、安心してほしい。書いたほうも収穫ゼロだった。お互い時間をドブに捨てたということで訴訟はなしにしてほしい。そもそも、ブス同士が「法廷で会おう」と言ったところで、その裁判はそのブス以外全員欠席だ。

この本は“ブス”を取り扱っておりまして。
ソフトカバー255ページ、最初っから最後までブス・ブス・ブス!いっそ潔いほどまでに、ブスとしか言っておりません。

暇なもんだから数えてみちゃったよ。この本の中で何回“ブス”って出てくるか。
その数978回!(多分)す、凄ぇブス。

おそらく、本書で一生分の「ブス」という言葉を見たと思うが、私も一生分書いた。
しかし、やり切ったという感はあっても、やり遂げた感はゼロである。

ちなみに全38章の内、ブスという単語がただの一回も出てこない章もあるにはあるんですけど……『「男受け重視」の女は古く言えば「ぶりっ子」、新しく言えば「賢いヤリマン」』っていうね。

……逃げ場、なし!

この本は不真面目なように一見思えますが、実は著者は“ブス”という攻撃的なワードをあえて多用することによって、日本では容姿によってヒエラルキーが生じる社会システムを批判したり、各々の美醜を意識する上での高慢と卑下の心理を分析している
——ってことは、全くありません。見たとーり!そのまんま!安心しておくれよ、教養とか思想とか、1ミリたりともないからさ!

男が男を面と向かって褒めるのには、ゲイをカミングアウトするよりも勇気がいると言われている。それに引き替え、女は女をいともたやすく褒める。こう言うと、女の女に対する褒め言葉には価値がないように聞こえるが、本当にないのである。

「ブスの本懐」を読んで思い出したのが、過去にご紹介した酒井順子の「私は美人」
片や美人、片やブスと、間逆のことを言っているようですが、実は同じことを話してる。

酒井順子さんは、日本に存在する「女は自分が美人であろうとなかろうと、自分のことを美人だと思ってはならないという鉄則」について、「私は美人」の中で言及しています。
さて、こちらの「ブスの本懐」では。

冒頭でも書いたが、日本人は女が自分の容姿に言及することに厳しい。美人が自分を美人と言ったら怒るし、ブスだと言っても怒る。逆に、ブスが自分を美人だと言ったら、もちろん怒られるし、ブスだと言ってもムカつかれるのだ。何を言っても怒られるのである。もはや美人もブスも黙ってやるしかない。つまり皆、女の自分の容姿に対する自意識が嫌いなのだ。

さてここから島国ニッポンの、自意識に対する総叩きの社会批判に続くのかというと
——そういうことは、全くありません。見たとーり!そのまんま!安心しておくれよ、教養とか思想とか、1ミリたりともないからさ!

ただ読んでムッチャ面白く、そして、すがすがしいまでに読後に何も残さない。
ただ、ムッチャ面白いで。ムッチャ楽しく読んで、読み終わった後は燃やして焚きつけにすれば、暖もとれる。役に立つ。

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レビュアー: さくら
さくら
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